ドラマ『恋は闇』が描くのは、ただの恋愛ではありません。心の奥にひそむ“言えなかった想い”や“痛みごと愛すること”を、そっと照らし出す物語です。
そして、この作品を語るうえで欠かせないのが、衣装という静かな語り手の存在。
志尊淳さん演じる設楽浩暉は、どこか壊れかけたまま人を求める青年。岸井ゆきのさん演じる筒井万琴は、自分を守ることに慣れすぎた優しさの持ち主。彼らが着る一着一着が、言葉より雄弁に“心の輪郭”を描いていました。
この記事では、そんな二人の衣装に込められた意味やブランド情報を、物語の余白ごとすくい上げて解説します。あなたが見逃していた“もう一つのセリフ”が、きっと見えてくるはずです。
- ドラマ『恋は闇』における衣装とキャラクターの関係性
- 志尊淳さん・岸井ゆきのさんの着用ブランドとその特徴
- 衣装がキャラクターの“心情”をどう映しているか
- SNSで注目されたファッションの反響や共感の声
- 物語をより深く味わうための「衣装という視点」
ドラマ『恋は闇』とは?ファッションが物語る“心の闇”
愛することが、いつの間にか痛みになっていた——。
『恋は闇』は、志尊淳さん演じる設楽浩暉と、岸井ゆきのさん演じる筒井万琴が織りなす、どこか歪で、それでも惹かれ合うふたりの物語。
このドラマが静かに、しかし確かに視聴者の心に触れてくるのは、セリフよりも沈黙、説明よりも「空気」を信じているから。そしてその“空気”を語るもうひとつの言語が、彼らの衣装です。
着ているものが、今の心を表している。衣装が、キャラクターの弱さや決意を静かに代弁している。『恋は闇』はそんな「ファッションで感情を語る」ドラマでもあります。
本記事では、そんな衣装にフォーカスし、ブランド情報から演出意図までを深掘り。視聴者としての“観る眼”を、もう一段階研ぎ澄ます視点をご紹介します。
志尊淳の衣装|設楽浩暉の“壊れそうな美しさ”を纏うブランド
志尊淳さんが演じる設楽浩暉は、どこか危うく、心の奥に触れてはいけない何かを抱えた存在です。彼の衣装は、その繊細さと不安定さを“視覚”で表現していました。
特に印象的なのが、Maison Margiela(メゾン マルジェラ)のダメージ加工カーディガン。ほつれ、揺れる裾、無防備な首元——完璧に整えられていないその衣服は、浩暉自身の“壊れかけの均衡”を写す鏡のようです。
また、足元に選ばれているのはSALOMON(サロモン)のスニーカー。アウトドアの機能性と都会的なスタイルを兼ね備えた一足で、「逃げたいけれど、逃げられない」彼の葛藤を感じさせます。
志尊さんの所作はいつも静かで、目線は遠くを見ているよう。それを受け止める衣装たちもまた、派手さではなく“余白”を纏っています。つまり、視聴者が感情を投影できる“隙”があるということ。
演技と衣装が一体となって、設楽浩暉という人物を“見せる”のではなく、“感じさせる”。それがこのドラマにおける彼のファッションの役割でした。
岸井ゆきのの衣装|筒井万琴の“やわらかな盾”としてのファッション
岸井ゆきのさんが演じる筒井万琴は、どこか“自分を守ること”に慣れすぎてしまった女性です。人と関わることに怯えながらも、心の奥では誰かとちゃんと繋がりたいと願っている。
彼女の衣装は、そんな繊細なバランスを絶妙に表現していました。
たとえば、NANO universe(ナノユニバース)のダブルブレストジャケット。ネイビーカラーが凛とした印象を与える一方で、ほんの少し肩を落としたシルエットが“張りすぎない強さ”を醸し出します。
また、earth music&ecologyのピンクのWジップニットは、やわらかさと緊張感を併せ持った選択。ジッパーの開閉で印象を変えられるこのアイテムは、まさに「心を少しだけ開いている」万琴の状態とリンクしています。
外を歩くシーンでは、COHINA(コヒナ)のライトトレンチコートが印象的。ベージュの軽やかな素材が、彼女の“どこか風にさらされているような不安定さ”を引き立てています。
バッグはEpoi(エポイ)、アクセサリーはJouete(ジュエッテ)で揃えられ、どれも主張しすぎないのに“ちゃんと選ばれている”品の良さがあります。
そのひとつひとつが、筒井万琴の内面の静かな戦いを支え、彼女が彼女であり続けるための“やわらかな盾”となっていたのです。
衣装で伝える“沈黙の感情”|『恋は闇』が語るファッションの力
『恋は闇』という物語は、沈黙や視線、呼吸の間(ま)といった“言葉にならないもの”で進んでいきます。
このドラマにおいて、衣装はその沈黙と並ぶ、もうひとつの“語り部”です。たとえば、誰かに会いに行くとき、そっと目を伏せたまま何も言えなかったあの場面。何も語らない万琴の代わりに、くすんだベージュのトレンチコートが彼女の緊張を語っていました。
また、浩暉が無言で部屋の窓を開けたシーン。その時に揺れていたのは、マルジェラのほつれたカーディガン。その“ほどけかけた袖口”が、彼の脆さと孤独を私たちに届けてくれたのです。
ドラマのセリフが“物語を運ぶ力”だとしたら、衣装は“物語を沁み込ませる力”と言えるかもしれません。
着るものひとつで、キャラクターが観る者の中に棲みつく。その力を、衣装は持っている。『恋は闇』は、その事実を静かに、でも力強く教えてくれる作品でした。
ブランド情報まとめ|志尊淳&岸井ゆきのの衣装一覧
ここでは、ドラマ『恋は闇』で志尊淳さんと岸井ゆきのさんが実際に着用した衣装のブランドを一覧でご紹介します。登場人物のキャラクター性に寄り添いながら選ばれたアイテムたちは、日常でも取り入れたくなる“静かな存在感”を放っています。
志尊淳(設楽浩暉 役)の衣装
- カーディガン:Maison Margiela(メゾン マルジェラ)
→ ダメージ加工が施されたVネックカーディガン。繊細さと危うさが漂う一着。 - スニーカー:SALOMON(サロモン)
→ ストリートとアウトドアを繋ぐ機能美で、役柄の“逃げ場のなさ”を象徴。
岸井ゆきの(筒井万琴 役)の衣装
- ジャケット:NANO universe(ナノユニバース)
→ ダブルブレストのネイビージャケット。意志と柔らかさを両立。 - ニット:earth music&ecology(アースミュージック&エコロジー)
→ Wジップで印象を変えられるピンクニット。微細な“感情の揺れ”を表現。 - コート:COHINA(コヒナ)
→ ベージュのライトトレンチ。風に揺れるシルエットが心情と重なる。 - バッグ:Epoi(エポイ)
→ ツートーンのミニマルなトート。日常に溶け込む静かな主張。 - ネックレス&ピアス:Jouete(ジュエッテ)
→ K10YGの繊細なジュエリー。存在感は控えめでも、確かに“そこにある”。
それぞれの衣装は、単なるファッションではなく、キャラクターの“感情の翻訳”として選ばれたもの。見た目の美しさ以上に、物語の呼吸を伝えてくれるアイテムたちです。
視聴者の反応|「あのコーデ、真似したい」「心が映ってた」SNSの声
『恋は闇』の放送後、SNSには多くの視聴者の声があふれました。特にファッションに関しては、共感や憧れの言葉が目立ちました。
「岸井ゆきのちゃんのジャケット、ネイビーなのに重く見えなくて素敵。仕事にも使えそうだし、真似したい…!」
「志尊淳のカーディガン、あんなにほつれてるのに全然だらしなく見えない。不安定なのに美しいって、衣装も演技もずるい。」
「あのピアス、小さいのに光が当たると一瞬だけ主張して、なんか泣けた。服って、こんなにも気持ちに作用するんだね。」
“着ている”だけでなく、“伝えている”。その感覚を視聴者がちゃんと受け取っているからこそ、ファッションもまた『恋は闇』というドラマの魅力の一部になっているのです。
とくに「心が映ってた」「言葉より服に泣かされた」という声が多かったのは、この作品が“見る”という行為の奥深さを教えてくれるからなのかもしれません。
- 『恋は闇』では、衣装がキャラクターの感情や心の揺れを視覚的に表現している
- 志尊淳さんのカーディガンやスニーカーは、設楽浩暉の不安定さを象徴している
- 岸井ゆきのさんのジャケットやアクセサリーは、筒井万琴の防御と柔らかさを共存させている
- 衣装はセリフ以上に“沈黙の感情”を伝えるツールとして機能していた
- SNSでも多くの共感の声が寄せられ、ファッションが物語の一部として強く受け取られている